世界でのオゾン アメリカ編①
- 塩田 剛太郎
- 4月25日
- 読了時間: 4分
更新日:6月4日

常任理事の塩田です。
昨年の年次大会で王先生の特別講演にて海外のオゾン療法ついて学びました。オゾン療法というと、自家血液療法といって血液を100-200mlほど採取しそこにオゾンガスを反応させ、体内に戻すという方法がドイツをはじめ世界17か国で認可されており、日本でも未承認ながら数百クリニックで実施されています。
オゾンと言えば、1840年にドイツの科学者・シェーンバインが発見し、その後ヨーロッパを中心に広がってきていますが、そんなオゾン療法の世界で今急速に拡大しているのがブラジルとアメリカです。
ブラジルでは2023年にオゾン療法が認可されたことでブラジルオゾン学会の会員数も1000名を超えて急速に拡大しているようです。一方、アメリカは認可がされていないにも関わらず、医師、歯科医師、獣医師が強く連携しオゾン療法が拡大してきてます。
昨年11月、アメリカでオゾン化グリセリンの発表があったという情報が入りました。なんと2018年に鳥取大学・岡本芳晴教授がオゾン水の抗腫瘍効果の発表と合わせて犬のガンへのオゾン化グリセリン症例を報告したのですが、その症例を見ていた獣医師が6年間かけて自分でオゾン化グリセリンを製造し、すでに400症例に投与し、ガンなどに著効を示したということでした。
私はすぐに岡本教授にこの事実を連絡し、発表したアメリカの獣医師とコンタクトを取りました。実際にヒアリングしたところ、ガンだけでなくネブライザーにオゾン化グリセリンの希釈液を入れたところ呼吸器疾患に良いことなどを実施されておりました。そして王先生や我々の論文を師として学んでいたので、ぜひ直接お会いしたいという流れになり、渡米することにしました。
お会いしたところ、これまで20年に亘りオゾンガス、オゾン水、オゾン化オイルを使用してきたこと、オゾン水もオゾン化オイルは半減期も短く、オゾン化オイルは臭くて味もまずいため動物が嫌がること、一方でオゾン化グリセリンは無臭で味がよく動物たちも非常に喜んで使用できるとのことでした。そして何より水溶性なので希釈し注射やネブライザーなどにも使用できることも大きいとのことでした。
私は手作りのオゾン化グリセリンが本当に安全なものなのか?どのくらい安定化できているのか心配だったので、サンプルをいただき濃度を測定してみました。予想どおり減衰が非常に速いため、製造後冷蔵保管しても1か月以内で使用しなくてはならないようなものでした。そのことを報告し、また我々が常温安定化に成功したことを告げたところ、ぜひアメリカオゾン学会で特別講演をしてほしいとの依頼がありました。
20年のオゾン化グリセリンの研究は本学会を中心にすでに100報を超える学会発表や数多くの論文、特許、そして製造に関しては無数のノウハウがあります。非常に重要なことは規格、ガイドライン、プロトコールです。手作りのオゾン化グリセリンを否定するわけではありませんがちゃんと濃度や品質が適正か?その使い方や保管方法、さらにはどの症例にどう使うのかをしっかり規定しないと有効性を発揮できないだけでなく、事故の可能性も考えられます。
5月8日にアメリカオゾン学会で特別講演をさせていただき、日本でのこれまでの実績の共有、今後連携も視野にオゾン化グリセリンの規格化、ガイドライン、プロトコールの作成に向けての提言をしたいと考えます。
日本だけでなく世界中でオゾンが広がっている背景には従来の医薬品や治療法だけでは難治になっている疾患が多いこと、抗生物質が無効の耐性菌が増えていることなどが挙げられます。改めて本学会の趣旨であるオゾン医療の安全で有効な普及に向けて日本だけでなく海外とも連携していこうと考えてます。
〜こちらの記事は4月に発行されたメールマガジンの内容を転載しております。〜
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